書籍紹介「石川鷹彦 LIFE~昨日・今日・明日~」
会社の先輩にお借りした書籍「石川鷹彦 LIFE~昨日・今日・明日~」を読ませていただきました。
石川鷹彦氏、言わずと知れたギタリストのレジェンド。氏のギタリストへの道、2014年に脳梗塞でギターが弾けなくなった今(発刊は2023年)の様子、そして、周りの方がの氏との交流の数々の逸話と氏への想いなどが綴られています。
言葉を発しにくい石川氏のそばで、代わりに受け答えする夫人とのインタビューでは、脳梗塞になった日の出来事、二人の馴れ初めや、ギタリストとしての活動、その他の思い出話が語られます。そして、ギターを置いた後、ゴダイゴのタケカワユキヒデ氏から贈られたDTMセットで数百曲にも及ぶ作曲をされているということも。インタビューでは、その曲もみなさんで鑑賞し、DTMでは難しいギターサウンドも石川氏のギターのニュアンス・響きが再現されているとのこと。
石川氏とゆかりのあるミュージシャン、さだまさし、タケカワユキヒデ、坂崎幸之助、森山直太朗らの寄稿やインタビューでは、氏との出会い、コンサートツアーやレコーディング、日々の交流の思い出話が語られています。氏の自宅のスタジオで盛り上がって録音して、そのままレコードになっている曲もいくつかあるそうで、その活気、熱気が伝わって来るようです。
本書籍の企画・編集・出版を手掛けた石川鷹彦LIFE出版委員会のメンバーらは、氏のファンでもあり、音楽・演奏、出版等の仕事仲間でもある。石川氏の気さくな人柄が、音楽や仕事だけでなく、普段の飲み友達として交流している様子が語られています。美大・デザイナー出身で、繊細で緻密な面や、音楽に真摯な姿勢を見せる一方、お酒が好きで、普段から冗談を言うお茶目で豪快な人柄が、人を惹きつける様子が生き生きと浮かんできます。そんな常に冗談を言うマインドが、演奏の即興性にもつながっていた、というようなお話はとても興味深かった。
加えて、これまでの石川氏のインタビューや記事のアーカイブ、レコーディングに関わった楽曲と演奏の解説、と、石川鷹彦の音楽、人柄、魅力、そして2023年現在の姿をたっぷりと見せてくれる一冊でした。
実は、私は、石川鷹彦の名前は子供のころから知っていたし、22才の別れのギターリスト、さだまさしのツアーギターリストでレジェンド的存在といったことは知っていたけれど、ちゃんと石川さんのギターということを意識して聴いたり、オリジナル曲を聴いたりしたことはなかった。最近、この本の中にも名前の出てくる吉川忠英さんや岡崎倫典さんの生演奏を聴かせていただいては気持ちよく感動していますが、この本を読んで、あぁ、石川鷹彦さんのライブを聴いてみたかったと、しみじみと思いました。石川鷹彦が弾く石川鷹彦の音を、生のライブで聴いてみたかったと。
一気に読み終えた一冊、じんわりと胸に来ています。
0コメント